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正しい機器を使用し、注意深く測定しても、得られた測定値には誤差
(error)が含まれ、測る量の真の値(これは実際にはわからないが、わ
かっているものとする)とは異なる。測定値と真の値の差を絶対誤差
(absolute error)、または単に誤差と言い、誤差を真の値で割ったもの
を相対誤差(relative error)または比例誤差という。相対誤差は、普通、
百分率(%)で表す。
誤差 = 測定値-真の値
誤差は生じる原因によって、次のように分類される。
- (1)
- 系統誤差(systematic error)
- 120D
- 理論誤差 : 使用する理論の省略などによる誤差
- 220D
- 器械誤差 :器械の目盛りのずれや時計の遅れ・すすみ
などによる誤差であり、実験を何度繰り返しても測定値は真の値に対
して常に一定方向にはずれる。この誤差を無くすにはその原因を追求
し、器械や測定技術の改良をすることが必要である。実験時の気象デー
タや器械の状態を記録しておくことは、こうした系統誤差の原因を見
つけるのに有効である。
- 320D
- 個人誤差 : 測定者の性格、癖による誤差。これは、
訓練によって無くすようにしなければならない。
- (2)
- 偶然誤差(random error)
環境や測定器の微細な変化などによって、偶然に、しかも必ず生じる原
因不明の誤差。測定を繰り返し、統計的な処理を施すことにより減少さ
せることができる。
- (3)
- 過失誤差
不注意による誤差。
- (4)
- 測定方法による誤差
器械の目盛りに対して垂直な位置に目を持ってこなければ、誤差が生じる。
このような誤差を視差という。
偶然誤差以外の誤差は、適切な対策を講じることにより人為的に取り除く
ことができるが、測定値には必ず偶然誤差が含まれるから、測る量
の真の値を求めることはできない。このことから、もっとも確からしい値、
すなわち最確値を求めることが、測定においては特に重要となる。最確値
を求めるための誤差論では、偶然誤差だけを扱う。
Kenichi Kuroda
2000-06-23