式辞
会津大学学部入学生262名、博士前期課程58名、博士後期課程8名、合計328名の皆さん!御入学おめでとうございます。
会津大学の新しい一員として、そしてキャンパスの新しい主役として本日から活躍が始まる皆様を本学は大きな喜びを持って歓迎いたします。
今日ここに、平成21年度会津大学入学式が、御来賓並びに関係各位の御臨席のもとに挙行できますことは、大きな喜びであります。
新入生諸君、皆さんがこれまで長年にわたり勉学に励み、努力されてきたことに心からの敬意を表します。また今日まで皆さんを育て、指導し、
暖かく見守ってこられた御両親、御家族の皆様、さぞお喜びのことと思います。心から御祝いを申し上げます。
世界は百年に一度の経済危機に見舞われているという状況の中で、大学卒業者の就職危機が叫ばれ企業の採用減も報道されており、入学生諸君の
中には将来の就職について不安を抱いている方も多いと思います。内定取り消しなどが行われている社会状況を踏まえて考えると当然ではありますが、
企業が大学教育に何を期待しているかということを冷静に考える良い時期が来ているのではないかと考えることもできます。日本の教育のあり方を
世界と比べて見ますと、高校教育までは大変効率良い教育を行っているが、大学の受験競争を乗り越えた学生のかなりが大学の学部時代には受験戦争の
疲れを癒すことに時間を掛けてしまい、余り勉強に集中できていないのではないかという指摘がしばしばあります。一方、本学の歴史を振り返って
考えてみると、就職率は開学以来常にほぼ100%で継続し、1993年春から数年間の超就職氷河期と言われた期間でもその高い数字は維持されており、
今年度に入っても既に企業からのお話が来ています。
何故そのように高い達成率を維持できているか言いますと、本学の教育が現在の社会の意要請に強く応えているとともに、21世紀の将来を見据えた
人材教育を行っているからだと考えています。本学は高い教育を遂行するために十分な教員の数と質を用意し、学生を迎えています。
地方大学の特徴の一つは教員が学生諸君の身近で教育と研究に励んでいるということです。3月に私は米国の世界レベルのStanford大学、高い教育内容を
誇るRose-Hulman理工大学、南部の文化を伝えるMercer大学を訪問しましたが、これらの大学はいずれも地方にあり、特に後者の2大学は本学のように
中小規模の大学ですが、教育を手厚く行っていることで全米内で高い評価がなされています。地方大学の良さは都会の喧騒から離れてじっくりと教育が
行うことができるということであり、本学の例で考えてみますと教員は大学の近くに住んでいるので通学時間はほとんどかからず、一日にして見ると
2時間は教員は学生との交流時間を都会の教員より多くとっていると思います。教育の一歩はやはり教員から学問への姿勢を如何に多く学びとることに
あるので、教員との交流時間が多いということは大変重要なことと考えます。
良い勉学の環境を本学は準備していますが、それをどのように活用していくかというのは皆さん個人々の姿勢に掛っています。現在の就職氷河期の
再来に打ち向うには本学の特徴のある教育内容をしっかりと習得してください。そのためには今日から大学内で良き友人、常に相談できる教員を
見つけてください。その中で、しっかり勉強することが就職氷河期を乗り切る最良の策です。
昨年度より本学の学部のカリキュラムは学生の進路希望に合わせて科目を柔軟に組み合わせて履修できるように改訂されました。科目内容も
世界的に社会ニーズの調査をして大学教育の方向性を提言をしている米国学会のACM勧告に合わせた内容になっており、コンピュータサイエンス
からソフトウェア工学やIT応用分野へと幅広く勉強できる仕組みとなっています。希望する進路に合わせた科目選択には履修アドバイザーがサポートします。
履修アドバイザーが皆さんにとっては個人的に交流し、指導が受けられる良い教員となるでしょう。
本学は教員の半数が外国教員であり、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、オセアニア、北アメリカ、南アメリカの世界六大州の中、南アメリカ以外の
全ての世界から教員を迎えています。皆さんは今日からこの世界からの教員との交流が始まります。
本日からこの国際性高い本学のキャンパスで生き生きと活動を開始し、一人一人がグローバルな人材なられることを期待し、歓迎の挨拶とさせて頂きます。
平成21年4月2日
会津大学学長 角山茂章