IT時代の学生への期待

大学院研究科長 斎藤和之

21世紀に入り、世の中は「IT, IT, ....」と賑やかです。コンピュータ理工学とい う、ITに最も関連の深い技術を教育と研究の柱とする本学は、この就職難の中で高い 求人倍率を続けています。嬉しいことです。しかし、ITに浮かれる訳には行きません。 IT時代を作るのは本学の卒業生自身の肩に架かっているのですから。大学院が出来て 4年経ち、2002年3月には博士第1号を予定しています。

私は約30年前に大学 の博士課程を修了しました。その時、今の時代を予想出来ませんでした。真空管の陰 極の研究が私の博士論文のテーマでした。会社に入りVLSIの研究を始めました。10 μm技術の時代でした。嶋先生がマイクロプロセッサを発明した頃です。この30年 間で微細化は2桁進み、マイクロプロセッサの性能は5〜6桁向上しました。真空管 は殆ど姿を消そうとしています。時代の流れは急激です。次の30年で何が起こるの か、誰も予想出来ません。

この変化の時代の中では、卒業する学生諸君が、大学で学ん だことを基礎に自分の能力を日々高め、自分の夢を実現しようとする強い意志を持ち、 本学の標語の' For Humanity 'を常に念頭に置いて活動すること、が最も大切なこと だと思っています。