ワシントン州シアトル近郊の出身。ワシントン州立大学において、演劇とコミュニ
ケーションを専攻し、文学士号を取得。卒業後、一年間の休暇をとり、日本で英語を
教えて生活してきた。その旅行の経験が言語指導に対する関心へとつながり、
バーモントにある St. Michael's College において第二外国語としての英語指導
の修士号を取得するため、アメリカへ戻ることとなる。
修士号取得後、金沢工業専門学校の講師として勤務するため再来日したが、その間
、コンピュータ支援言語学習に関心を持つようになり、コンピュータ
関連英語ならびにマルチメディアコンピューティングに関する科目の指導を
開始する。金沢滞在中、会津大学とそのコンピュータサイエンスに関わる特定
目的のためのユニークな英語プ
ログラムについて聞き及ぶ。会津大学に欠員があることを知り応募したところ、雇用
が決まり、その後まもなく語学研究センターに勤務するため会津を訪れる。
会津大学のリーディング(英文読解)の授業においては、語彙、特に専門用語、語句 に幅広く焦点をあてている。それらは、“真の”専門用語を取り巻く単語のこと である。例えば、“Strings are a sequence of characters followe d by the null-character,”という語句では、学生は“sequence”や“followed by” といった周辺用語に苦心しがちである。リーディング授業の大半は、毎週のリーデ ィングに出現するその種の用語の定義をただ単に暗記することを必要とする。
当初、学生はペーパー式の練習問題を仕上げることによって新たな語彙を学習した
が、これらの作業には二つの問題点があった。第一点めは、本来リーディングの能力
開発のために使うべき授業時間がそのためにとられてしまった
こと、そして第二点めは、通常、課題によってカバーされる語彙に関する
小テストを受けた後に、その課題
が採点され学生に戻されるというような状況
だったことである。
これらの問題に取り組むため、私は一連のウェブベースの語彙 ( web-base
vocabulary ) を開発した。これらは、いくつかの利点があることが証明されつつある。
まず第一に、そして最も重要なことには、それらを宿題として学生に課すことにより
、授業時間を他のことにあてることができるようになる点である。第二に、アクティ
ビティによって、学生は瞬時にフィードバックを受ける
ことができる。学生が質問に対し間違った解答を出した場合、間違いが指摘され、
正しい解答が示される。第三に、これらのアクティビティは自己採点式
である。学生が80パーセント以下の点数を採った場合、そのアクティビティを
再度試みることを要求される。質問と解答の選択肢
は無作為に選ばれるため、学生は試みるたびに異なったバージョンのアクティビティ
に出会うことになる。学生が80パーセント以上の得点を獲得すると、その得点がサー
バーに送られ、その後採点プログラムに転送される。最後に、アクティビティは学生
の得点が記録されたことの確認として、Eメールメッセージを自動的に学生に送信する。
これらの作業も問題がないわけではない。コンピュータベースのアクテ ィビティは一般的に、その目的が情報を暗記することにあるドリル型のアクティビテ ィには上手く機能する。その点では、実に役に立つと考えられる。語彙小テストの得 点は、昨年度を通じて伸びを見せているが、学生が本当に新たな語彙を理解している のか否か、むしろ一組の単語が別のものに結びつくことを単に暗記しただけなのかは 、依然として疑問である。例えば、ウェブアクティビティは、学生がその単語や定義 が実際に何を意味するのかを全く理解することなく、“sequence”が“a list of it ems in a specific order”を意味することを覚えるのを手助けすることができる。 学生がその語彙を確実に理解することができるように、授業中には、文脈でその単語 を使用しながら教っている。
次の段階は、ドリル学習から離れて、より能力関連のウェブアクティビティ
導入を試みることである。さらに、答えが何であるかを単に学生に教えるという
よりはむしろ、学生がいかにして答えを見出すかを学ぶために役立つような、より
多くの有益なレスポンスをアクティビティに加えていきたい。ゆくゆくは、あら
ゆるレベルの学生がそのリーディング能力を向上させるのに役立つ、十分柔軟性
のある、ほとんどオンライン化したリーディングの授業を確立
したい。
コンピュータ支援言語学習の分野において、今後数年間は非常に興味深いものとな ることが予想され、その間、研究者ならびに教育者として会津大学で過ごすことがで きることを楽しみにしている。