リアル・ファンクションを用いた形状モデル化とコンピュータ・グラフィクス

A. Pasko, V. Savchenko 会津大学、日本

私たちの提唱する機能性に基づく幾何学的モデル化とは、リアル・ファンクション を用いてより一般的なモデル化機構に近づこうとする試みである。モデル化の概念 には、オブジェクト・セット、オペレーション、その関係が含まれる。いかなるオ ペレーションも表示されたものに近くなければならない。すなわち、結果として継続 的なリアル・ファンクションを生成しなければならない。基本的オペレーション、 すなわちセット・セオレティック・オペレーション、ブレンド、オフセット、バ イジェクティブ・マッピング、プロジェクション、カルテシアン積、および変形の 場合の定義ファンクションの変形を説明する。含有、ポイント・メンバーシップ、 交差の関係を導入した。また、次に あげる高度なオペレーションも導入した。すなわち、動く固体によるスウィーピング、 算術合計を用いたデフォルメ、および3次元構成のモデル化である。

実際のモデル化システムを設計する際、プリミティブ・オブジェクトの限定セット を定義できる。しかし、モデル化の概念ではこれは必ずしも必要ではなく、ユーザー が公式か評価手順によってこれらを記号で定義することを前提にすれば、「空」の オブジェクト・セットでもかまわない。もし、非常に異なる種類の固体のモデルの 機能的表記法を 見つけられれば、あるいは既存のモデルを望ましい形式に変換できれば、この方法によ り、非常に異なる種類の固体モデルを「一つ屋根の下」に統一化できる。たとえば、 CSG プリミティブ、自由形式のインプリシット、スウィープされた固体、および電圧計 のオブジェクトを一緒に1つのモデルとして使える。

私たちのプロジェクトの現状を示す例を次にいくつかあげる。

通常のものにそったオフセットを図1に示す。ここでは、奥行きのデータによ って通常ベクトルにそった置き換えを制御する。

動く固体によるスウィーピングは、固体のモデル化においては長年の問題であ る。私たちは、スウィープされた固体の記述の問題を移動のパラメーターによって1次 元のグローバルで極端な追求に縮小してきた。これにより、ユーザーは任意の可変形や CSG 固体をジェネレーター、任意のパラメーター化された動き、およびセルフ交差とし て適用できる(図2参照)。

私たちは、オブジェクトの特性に結びつく任意の制御ポイント郡によるデフォルメの 定義方法を開発してきた。顔の表情のシミュレーションにこのテクニックを応用したも のを図3に示す。ここでは、5つの制御ポイントを移動し、8つのポイントを固定し て、デフォルメを固有化している。

任意のポイント群の位置によるデフォルメを適用して、散在する表面のポイント群から 固体を再構成する(図4)。

パラメーター化された基本的オペレーションと応用オペレーションを用いると効率的に 形状を制御できるが、美的設計という点には直接結びつかない。ストロークのポイント 群を用いてオペレーションのパラメーターを評価できる。それには、非線型方程式のシ ステムを解く(図5とブレンドの例を参照)。

 3次元構成のモデル化は、よく知られた固体ノイズ・ファンクションに
よって定義された固体ノイズ・プリミティブの拡張的な使用に基づいている。 固体ノイズ、スウィー プのような技術、オフセット、セット・セオレティック・オペレーション、および非線 型スペース・マッピングとともに手順定義されたリアル・ファンクションを用いること によって、多種多様なヘアー・スタイルをモデル化してきた(図6)。

参考文献:

  1. Savchenko V., Pasko A. "Transformation of functionally defined shapes by extended space mappings", The Visual Computer, 1998, to appear.

  2. Sourin A., Pasko A., Savchenko V. "Using real functions with application to hair modelling", Computers and Graphics, vol.20, No.1, 1996, pp.11-19.

  3. Pasko A., Adzhiev V., Sourin A., Savchenko V. "Function representation in geometric modeling: concepts, implementation and applications", The Visual Computer, vol.11, No.8, 1995, pp.429-446.

図1.頭の奥行きのデータによって制御された距離と通常のものにそったオフセット
図2.固体の移動と回転によるスウィーピング(球と楕円体の結合)
図3.特性に基づくスペース・マッピングでモデル化された初期の立体の頭(a)と顔の表情
図4.ボリューム・スプラインとの代数学的合計によって定義されたデフォルメ法を使って、散在する表面のポイント群からフォボス(火星の衛星)を再構成する。
図5.(a)手書きの線で定義された美的ブレンド法を用いて、ワイングラスの本体と底を接合する。(b)評価されたパラメーターでブレンドされた結果。
図6.非線型スペース・マッピングとセット・セオレティック・オペレーションを用いた髪の成長とスタイリング。