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Japanese/English
2009年9月10日

会津大学先端情報科学研究センター(CAIST)宇宙情報科学クラスター(ARC-Space)の所属教員らを共著者とする論文が、 英国科学雑誌「Nature」(2009年9月10日発行)に掲載されました。(会津大学 キャンパスニュース


今回の論文では、月表面物質の反射スペクトルから鉱物組成を推定するための解析ソフトウェアの提供や、 高地地殻が月のクレーターの内部にどのように露出しているのかの解析に会津大学所属教員が寄与しています。

会津大学の所属教員は、「かぐや」の計画の当初よりLISMの研究チームに参加し、機器の開発・試験に 参加してきたほか、データ解析のためのソフトウェア開発に取り組んできました。MIの画像データを効率よく地球に送るためのデータ圧縮手法の 研究や、研究者が運用中の観測機器の状態を確認するためのソフトウェアの開発などを行い、その成果はLISMの観測データ取得に活かされました。一昨年度より 科学研究費補助金を受けて、「かぐや」観測データを可視化する月GISサーバの研究も始めています。また、本年4月に発足した 先端情報科学研究センター(CAIST)の宇宙情報科学研究クラスター(ARC-Space)では、「かぐや」プロジェクトで経験を積んだ若手研究者を 新たに迎えて、さらなる研究や解析のためのソフトウェア開発を進めています。

今後も会津大学ではJAXAおよび関連研究機関と共同して、「かぐや」観測データからさらなる科学的な成果を引き出すべく解析を進めるほか、 解析の効率化、高精度化を目指してソフトウェア開発などを進めていきます。

会津大学の共著者紹介
浅田智朗(マルチメディアシステム学講座)
出村裕英(マルチメディアシステム学講座、ARC-Space)
平田成(マルチメディアシステム学講座、ARC-Space)
小川佳子(ARC-Space)
本田親寿(ARC-Space)
北里宏平(ARC-Space)
寺薗淳也(データベースシステム学講座、ARC-Space)
会津大学特任教員として招聘されている共著者紹介
大竹真紀子(JAXA)
春山純一(JAXA)
横田康弘(JAXA)
諸田智克(JAXA)
佐々木晶(国立天文台)
※著者順による

この論文は、月周回衛星「かぐや(SELENE)」に搭載されたマルチバンドイメージャ(MI)の観測データに基づくものです。MIによる月全球の鉱物分布の データを解析した結果、月の高地の地殻にはほぼ 100%斜長石からなる斜長岩(※1)が分布していることを世界で初めて明らかにしました。この研究成果は、 従来は斜長石90%とそれ以外の鉱物10%からなると考えられてきた月の高地の地殻生成に関し、新たな知見をもたらすものです。 内容の詳細はJAXAのプレスリリースをご覧ください。

マルチバンドイメージャ(Multiband Imager:MI)は、「かぐや」に搭載された機器の一つで、地形カメラ(Terrain Camera:TC)、スペクトルプロファイラ (Spectral Profiler:SP)と合わせて月面撮像/分光機器(LISM)という光学観測機器を構成しています。今回の論文はマルチバンドイメージャの観測データに 基づく月に関する研究の最初の大きな成果となるもので、観測機器主任研究者である宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究本部固体惑星科学研究系の 大竹真紀子助教(会津大学特任准教授)を主著者とし、国内外の研究機関に所属する31名のLISM/MIの研究チームメンバーが共著者となっています。

(※1)カルシウム、アルミニウム、ケイ素と酸素より成る斜長石という鉱物を多く含む白い火成岩が斜長岩と呼ばれています。

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