位相的特徴に基づくボリューム整形化研究内容CT(コンピュータ断層撮影)やMRI(核磁気共鳴画像法)などの医療計測機器から得られる3次元画像や,シミュレーションなどで得られる電荷や密度の空間分布は,すべて ボリュームデータと呼ばれる3次元空間のスカラ値を,格子状にサンプルしたデータとして表現されます. このようなボリュームデータは情報量の多さ故, 分かりやすく可視化するためには各データ毎に可視化パラメータを精妙に調整しなければならないという問題があります. そこで本研究では, ボリュームデータの位相的な特徴を効果的に追跡し, 得られた特徴部分に対して位相的・幾何的な変調を加え, 特徴に対応するボリューム部分がより広いスカラ値区域を占めるように再配分することにより, 精妙なパラメータの調整を必要としない手法の開発を行っております.
本手法により、
特徴部分の分布が広がったためにサンプルされたスカラ値を表すビット数を下位ビットから減しても特徴部分が保持されるため、ビットシフトによる圧縮(図1参照)が可能となり、データ通信量を配慮したデータ送受信ができます.
また、整形化後のボリュームデータを送受信した際、受信者はパラメータの調整が必要なくなるため(図2参照),
コミュニケーションメディアの標準化手法として本手法は利用可能になります.
位相的特徴の追跡には, ボリュームデータの位相解析と可視化 と同様に骨格木を利用します. 本研究では, ボリュームデータの位相的な特徴を捉えた骨格木に変調を加え, それを元のデータに反映させることで整形化を行います. 手順は以下のようになります.
以下にボリューム整形化を行う前後の"陽子と水素原子衝突シミュレーションデータ"の可視化結果を示します.
なお、以下の可視化結果では
ボリューム整形化により陽子と水素原子の衝突の様子が鮮明に見て取れるようになっていることがわかるとおもいます. また, 特徴部分におけるスカラ値の分布が広がったことにより, 上で述べたように スカラ値を表す量子化ビットを単純にシフトすることで圧縮(図1)を行っても特徴部分を失うことなく圧縮することができます. 以下に、整形化の前後におけるボリュームデータを圧縮した結果を示します.
参考文献
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