視覚的な改良を施した3次元モデルへの電子透かし
研究内容
デジタルコンテンツとしての3 次元(3D)モデルの重要性が
高まるにつれて,3 次元モデルに対する電子透かしを用いた著作権保護技術の需要はますます高まってきています.
従来の電子透かし手法は,透かし情報を埋め込ん
だ際に生じる3 次元モデルの形状に対する視覚的影響
を考慮していないため,形状の歪みにより埋め込まれた
透かしが認知されてしまう,あるいはコンテンツとして
の価値を損なわれてしまうなどの問題を回避できずにい
ました.
そこで,
本研究では透かし埋め込みによる視覚的影響を考慮した新しい3 次元モデル
の電子透かし手法を提案しました.本手法は,まず,3 次元モデル上の視覚注意を
集める強さを表わすsaliency(顕著度) を計算する手法を用いることで,透か
し情報を埋め込む領域を選択的に限定します.
3 次元モデル上の顕著度は,各
頂点の曲率が周辺領域に比較してどれだけ異なっているかをあるスケールで
評価することで計算します.
次に,3 次元モデルの選択的に指定された領域
に含まれる頂点と重心との距離を求め,そこから距離分布に関するヒストグ
ラムを用意します.最後に,得られたヒストグラムのを,距離に関して均等な区間に
分割し,その区間内の頂点分布の統計量である分散を変調することにより透
かし情報を埋め込んでいきます.本手法は,元モデルを参照することなく,埋め込んだ
情報を透かしモデルから検出できる手法です.
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図1: 電子透かし手法の概要
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元モデル |
従来手法 |
我々の手法が透かし情報の
埋め込みによる視覚的影響を最小に抑えられていることを,既存手法と比較
することで示しています.
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Saliency の値による領域2分割 |
提案手法 |
図2: Horse
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参考文献
- 中沢 真一, 高橋 成雄, "視覚的影響を考慮した3次元モデルへの電子透かし". グラフィクスとCAD研究会(IPSJ SigGCAD) 研究報告, 2009-CG-137-2, pp. 1-6, November, 2009.
[PDF],
- 中沢 真一, 笠原 翔, 高橋 成雄: 「視覚的な改良を施した3次元モデルへの電子透かし」 Visual Computing/グラフィクスとCAD合同シンポジウム 2010 June, 2010.
-
Shinichi Nakazawa,
Sho Kasahara, and
Shigeo Takahashi:
"A Visually-Enhanced Approach to Watermarking 3D Models,"
in Proceedings of the 6th International Conference on Intelligent Information Hiding and Multimedia Signal Processing (IIH-MSP 2010),
(at Darmstadt, Germany),
pp. 110-113, 2010.
[PDF],
[DOI]
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