このページは, 旅行経路を中心に配置する地下鉄路線図生成のための研究成果について紹介しています. |
旅行案内のための地下鉄路線図
一般的に現在利用できる地下鉄路線図において,
探したい経路を見つけてたどるのは難しいものです.
特に,もし我々がその都市に初めて訪れているとしたら,
なおさらです.
もし地下鉄路線図において,
ある特定の経路の案内をするのであれば,
その経路を地図の中心においてその経路上にある駅に注釈を加えるほうが,
もっと直感的にわかりやすくなります.
実際に近年では,
多くの鉄道会社がこのようなレイアウトを取り入れて,
わかりやすい路線図を旅行者に提供し始めています.
しかしながら,
このように路線図をその地理的配置を保ちながらカスタマイズできて,
さらに大きな注釈ラベルを地図上に配置できる手法は今までありませんでした.
本研究では,
このようなある経路を中心に配置してさらに大きな注釈ラベルを加えられるような,
あたらしい地下鉄路線図の作成手法を提案しました.
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(a) オリジナルの地下鉄路線図における旅行経路 | (b) 我々の提案する地下鉄路線図における旅行経路 |
ここで用いる我々のアイデアは,
対象となる旅行経路をまっすぐに延ばして地図の中心に置き,
その経路配置を前提に効率良く注釈ラベルを配置することにあります.
この路線図レイアウトは,
縦横斜めの8方向に路線図配置を実現する,
混合整数計画問題に基づく従来手法を拡張して実現されます.
具体的には,
対象となる経路を構成する辺の向き(角度)が水平になるように変更を加え,
さらにその変更の影響を残りの路線図ネットワークに伝播させます.
このように,
各路線図を構成する辺の向きに適宜変更を加えることで,
対象路線が地図中心に配置されるレイアウトが実現されます.
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(a) 元々の経路の向きと付随する角度情報 | (b) 経路を水平に伸ばしたあとの角度情報 |
(c) 経路のレイアウト変更の影響を伝播 したあとの角度情報 |
そのあと,
経路上の各駅は地図領域の外側に置かれたラベルとリーダを介して接続されます.
その際に,視認性を高めるために,リーダ同士の交差をなるべく少なくする必要があります.
我々はこの問題を,
ネットワーク理論における最小コスト最大流量問題の概念を利用することで解いています.
以下の結果は,
いくつかの地下鉄路線地図の生成例とユーザテストの結果により,
提案する路線図配置の美的基準が,
地図を見る人の視覚注意を十分に対象路線図に誘導していることを示しています.
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(a) リーダーのための中間点の配置 |
(b) 水平に並ぶ中間点間に 完全2部グラフを構成 |
(c) 出発点と終点を加えて ネットワークを完成させる |
結果
ここでは,
我々の設計システムで生成したいくつかの地下鉄路線図例を示します.
(サムネイル画像をクリックすることで,オリジナルの解像度の画像が見れます.) |
論文 & ビデオHsiang-Yun Wu, Shigeo Takahashi, Chun-Cheng Lin, and Hsu-Chun Yen, Travel-route-centered metro map layout and annotation, Computer Graphics Forum (Proceedings of the 14th Eurographics/IEEE Symposium on Visualization (EuroVis 2012), Vol. 31, No. 3, pp. 925-934, 2012. Paper-preprint (PDF, 12.2MB), Video(MOV, 27.1MB) |