会津大学教員らの研究成果をもとに小惑星イトカワの地名が決定
会津大学も深く関わっている小惑星探査機「はやぶさ」が観測を行った小惑星イトカワの表面地形の地名が、
国際天文学連合(IAU)から正式に承認されました。
本学マルチメディアシステム学講座の平田成准教授、出村裕英准教授は共同研究者とともにはやぶさの観測データを解析し、
イトカワの表面地形の研究を進めてきましたが、今回、科学雑誌「イカルス」に採択された平田准教授を筆頭著者とする
学術論文成果に基づいて、10のクレーターと4つの地域の地名が新たに承認され、公式に用いることができるようになりました。
地名の申請内容は、平田准教授らを中心とする「はやぶさ」プロジェクトチーム内で検討され、渡部潤一先生(会津出身、国立天文台)の
助言をいただきながら国際天文学連合(IAU)に提案し、承認を得たものです。
天体への命名は、査読付きの科学論文に耐えられる明確な定義が必要であり、平田准教授らの研究論文により、小惑星イトカワ表面に
存在するクレーターやその他の特徴的な地形が明らかとなったことから、今回の命名が実現しました。
論文では、「はやぶさ」の画像やそこから作成された形状モデルを元に、イトカワ表面に存在する衝突クレーターの分布とサイズ、
地質学的特徴について研究を行っています。イトカワ上の衝突クレーターは、月などに存在する典型的な衝突クレーターに比べて非常に浅く、
また形状も円形からかけ離れたものが多いことがわかりました。イトカワのクレーターの特徴は、イトカワの起源や進化、そして内部構造を
知る上で重要な手がかりを与えるものです。
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【関連記事】
- ※ 「イカルス」誌掲載論文
- 「A survey of possible impact structures on 25143 Itokawa」
- Naru Hirata, Olivier S. Barnouin-Jha, Chikatoshi Honda, Ryosuke Nakamura, Hideaki Miyamoto, Sho Sasaki, Hirohide Demura, Akiko M. Nakamura, Tatsuhiro Michikami, Robert W. Gaskell, and Jun Saito
- ※ 太陽系内天体地名の一覧
- 惑星など、太陽系内天体の地名については米国地質調査所惑星地質グループがIAUの決定に従って、その一覧を整備している。 イトカワの地名一覧は以下から閲覧できる。
- http://planetarynames.wr.usgs.gov/jsp/FeatureTypes2.jsp?system=Asteroid%20Belt&body=Itokawa&systemID=12&bodyID=67&sort=AName&show=Fname&show=Lat&show=Long&show=Diam&show=Stat&show=Orig
- ※ 国際天文学連合(IAU: The International Astronomical Union)
- 世界の天文学者で構成される国際学会。恒星・惑星・小惑星・その他の天体に対する命名に関することも取り扱う。2006年の総会で 冥王星の分類が惑星から準惑星に改められ、話題を集めたことでも有名。
- ※ 科学雑誌イカルス(Icarus)
- 1962年に創刊された、米国天文学会惑星科学部門(DPS)の公式学術雑誌。惑星科学分野で最も権威ある科学雑誌のひとつで、太陽系に関する 観測・実験・理論といった科学分野を幅広く扱う。米国NASAの惑星探査指導者だった故カール・セーガン博士が編集長を務めたことでも有名。
会津大学は、観測データの解析による地形解析の分野において、月・惑星探査をサポートしています。これまでの研究成果に関する記事は、こちらをご覧下さい。