会津大学、東京大学、JAXA等の共同の研究成果が「サイエンス(電子版)」に掲載

この度、本学マルチメディアシステム学講座の平田成准教授、出村裕英准教授が東京大学、宇宙航空研究開発機構(JAXA)等と共同で行ってきた小惑星「イトカワ」に関する研究の成果が、世界で最も権威ある学術雑誌の1つである「サイエンス」(米国科学振興協会発行)(オンライン速報版「サイエンスエクスプレス」の4月19日版)に掲載されました。

掲載された論文は、東京大学総合研究博物館の宮本英昭准教授が主著者となり、会津大学の他、宇宙航空研究開発機構、福島工業高等専門学校、神戸大学、産業総合技術研究所、国立天文台、東海大学や海外の研究機関の研究者からなる合同研究チームによるものです。

小惑星「イトカワ」は、JAXAの打ち上げた小惑星探査機「はやぶさ」によって詳細な探査が行われました。その最初の成果は昨年6月に「サイエンス」誌に会津大学出村裕英准教授 (当時は講師)の論文を含む7件の論文として発表されています。今回の研究では、「はやぶさ」の撮影した高解像度画像と、「イトカワ」の形状モデルをもとに解析を行いました。その結果、小惑星の表面において、土砂の流動現象が起きていることと、流動に伴って土砂が「ふるい」にかけられたようになり、土砂の大きさが場所によって分かれたことを発見しました。これは太陽系のあらゆる天体の中で、初めて発見された現象です。

会津大学の研究チームは、砂礫の移動の向きを知るために必要な、小惑星表面の地形の解析を行いました。

小惑星イトカワ
※GIF Animation
(画像をクリックすると、アニメーションでご覧いただけます。)
会津大学研究チーム
会津大学研究チームの平田准教授(左)、出村准教授(右)
中央はマルチメディアシステム学講座の浅田教授

この図はコンピュータグラフィックスによって再現された、小惑星表面の土砂の流動方向を示したものです。表面につけられた色は、地表の斜面の傾きを表しています(赤が最も傾いた地域。以下、黄〜緑〜青〜紫の順に緩やかな地域に相当する)。黒い矢印は斜面に沿った土砂の流動方向を示しています。「はやぶさ」の撮影した高解像度画像を解析したところ、この矢印の方向にそって土砂が動いていた痕跡が発見されました。