このウェブページは,空間効率を考慮した注釈付き地下鉄路線図に関するプロジェクトの情報を提供するために準備されたものです. |
旅行のためのガイドマップ
地下鉄路線図に図式的表現を用いることで,
地図上の路線のつながりが視覚的に劇的にわかりやすくなるのは,
我々もよく知るところだと思います.
その効果は,
対象の地下鉄路線図が複雑になればなるほど,
大きくなります.
現在利用されている地下鉄路線図の図式的な表現は,
一般的にはBeck によって編み出された設計基準を用いており,
路線の向きは水平,垂直,あるいは45度斜めに配置されます.
このような路線図に,
さらに説明文や写真などの注釈ラベルを加えることは,
訪問しようとする場所に関する十分な情報を得るのに非常に役立ちます.
実際に,
書店等に並んでいる旅行ガイドマップなどでは,
図式的な地下鉄路線図表現に,
比較的大きな注釈ラベルが効果的に用いられているのをよく目にします.
本研究では, そのように路線の周辺にある地図上の空間に, 注釈ラベルをバランスよく配置することで, 注釈付き地下鉄路線図を設計するための手法を構築することに成功しました. ここでは, 路線の長さや注釈ラベルのリーダ線の長さを適応的に調整することで, 空間効率を最大限高めた注釈付き地下鉄路線図を生成できるようにしています. |
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(a) 注釈ラベルを配置する空間がない場合 | (b) 路線図を再配置することで空間効率を最適化 |
いままでのところ,
図式的地下鉄路線図配置そのもののための重要な設計基準に関しては集中的に研究をされてきていますが,
注釈ラベルの配置に関しては,
駅名などの小さいテキストラベルの配置しか考慮されていませんでした.
しかしながら,
大きな注釈ラベルが配置されている地図は,
自動で視覚的に満足の行く配置を求めるのは難しいこともあり,
プロのデザイナーが手で構成する必要がありました.
本研究では,
そのような比較的大きな注釈ラベルを配置するための重要な基準を検討し,
視覚的にも見栄えのする注釈付き地下鉄路線図を自動的に構成できるアルゴリズムの構築を行いました.
ここでは,
書店で販売されているような旅行ガイドマップにおいてよく用いられている設計基準を調べ,
それらを必ず満たすべきハード制約と,
満たす度合いを調整できるソフト制約の2つのタイプの制約として数理モデルとして定式化することで,
アルゴリズム実現しています.
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ハード制約 |
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(AH1) 8方向に限定されたリーダ線 |
(AH2) 重なりのない配置 (リーダ線と路線) |
(AH2) 重なりのない配置 (リーダ線同士) |
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(AH2) 重なりのない配置 (注釈ラベル同士) |
(AH2) 重なりのない配置 (注釈ラベルと路線) |
(AH2) 重なりのない配置 (注釈ラベルとリーダ線) |
ソフト制約 |
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(AS1) リーダ線と路線の角度の最大化 | (AS2) リーダ線の長さの最小化 | (AS3) リーダ線の曲がりの最小化 |
(AS4) 閉領域から最大限注釈ラベルを除外 | (AS5) 注釈ラベルと交互に配置 |
我々の手法では,
最初の2つがハード制約,残りの5つがソフト制約として定式化されています.
これらは,
既存の混合整数計画問題(MIP)を用いた地下鉄路線図配置に,
さらに制約を追加することで,
地下鉄路線最適配置と大きな注釈ラベルの最適配置の適切な妥協点を求めています.
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結果
ここでは,我々のシステムで作成したいくつかの路線図設計の事例を示します.
(サムネイル画像をクリックすると,大きな画像を見ることができます.) |
Paper & VideoHsiang-Yun Wu, Shigeo Takahashi, Daichi Hirono, Masatoshi Arikawa, Chun-Cheng Lin, and Hsu-Chun Yen, Spatially Efficient Design of Annotated Metro Maps, Computer Graphics Forum (Proceedings of EuroVis 2013), Vol. 32, No. 3, pp. 261-270, 2013. Paper-preprint (PDF, 12.2MB), Video(MOV, 27.1MB) |