はじめに
3次元都市地図を手で描く際に一番問題となるのは, 地図全体の配置を崩すことなく, 道路や建物などの地理的特徴同士の重なりを回避することです. しかし, このような地図のレイアウトの自動化は, 都市地図に建物の輪郭の平行線などの奥行き手がかりが多く含まれていることもあり, とても難しい問題でした. 本研究では, 3次元都市地図の視認性を向上させるために, 重要な地理的特徴の遮蔽を回避するための, 新しい手法を構築しました. これは, 線形計画法に基づく制約付き最適化を用いることで, 実現されています. 提案する数理モデルは, 特徴的な道路や建物の遮蔽を系統的に回避することができ, さらに最適化する目的関数を調製することで, 地図の局所的な3次元変形の度合いを制御することもできます.
制約の定式化
本手法では,地図の視認性を高めるために, 5つの設計基準を用いることしました. それらは,線の向きの固定(Fixed orientation) (図1(a)), 相対位置関係(Relative position) (図1(b)), 拡大率の限界(Scale limits) (図1(c)), 移動量の最小化(Minimum displacement) (図1(d)), and 遮蔽の回避(Occlusion avoidance) (図1(e)) になります.
これらの基準のうち, 最初の3つは地理的特徴の配置における一貫性を保持するためのものでありハード制約として定式化されているのに対し, 残りの2つは3次元都市地図における実際の地理との対応関係の保持や, 地図自体の視認性の向上のために, ソフト制約として定式化されています.
結果
(a)
(b)
(a)
(b)
(a)
(b)
(a)
(b)
(a)
(b)
Paper
Daichi Hirono, Hsiang-Yun Wu, Masatoshi Arikawa and Shigeo Takahashi, Constrained Optimization for Disoccluding Geographic Landmarks in 3D Urban Maps, in Proceedings of the 6th IEEE Pacific Visualization Symposium (PacificVis 2013), pp. 17-24, 2013. Paper-preprint (PDF, 12.3MB) Video (MOV, 40.5MB)
Acknowledgments
本研究は,空間情報科学研究センターにおける共同研究(No.398)の成果であり, 3次元都市モデルは ZENRIN CO., LTD, デジタル道路地図データは Sumitomo Electric Industries, Ltd から提供されています. また,本研究は科学研究費基盤研究(B) No. 24330033 の支援を受けています.