「パソコン甲子園2004(に・ぜろ・ぜろ・よん)
第2回全国高等学校パソコンコンクール

平成16年11月 7日
14:00〜  筧 捷彦先生 基調講演
15:00〜  矢沢久雄先生 記念講演


審査委員のお二人による講演会を開催しました。
基調講演「めざせ、プログラミング世界一」
 審査委員  筧 捷彦 先生
  早稲田大学理工学部コンピュータ・ネットワーク工学科教授
  社団法人情報処理学会情報処理教育委員会委員長

君たちは、国内での選抜を受けてこの場に集まり、その力を互いに競った。
次は、世界の場でその力を試して欲しい。そして、世界一を目指そう。

ここではプログラミング部門についての国際大会を紹介する。
高校生対象には情報オリンピックというのがある。しかし残念ながら対応する国内組織が未整備なので、参加の道がない。

大学生対象には、大学対抗プログラミングコンテスト(ACM/ICPC=Association for Computing Machinery/InternationalCollegiate Programming Contest)がある。こちらは国内組織も完備している。大学生になったらACM/ICPCにぜひ参加してほしい。

ACM/ICPCはパソコン甲子園と同じく3人1チームの団体戦で、世界を30地区に分け予選を行い、本選に出場する60チームを選抜する。
5時間の制限時間内で8〜9門の問題を解くプログラムを作成し、完成したプログラム数を競う。
過去に日本で開催したアジア地区予選の優勝は過去8回とも全て中国勢である。
また、世界大会での日本チームの成績も、2000年の7位(京都大学)、2003年の11位(東京大学)にとどまっている。

ACM/ICPCで出題される問題は、アルゴリズムに関するものである。
この大会で結果を残すために求められるものは、問題の中身を正しく理解しどの程度のことができるプログラムを作らなければならないのかを読み取れることや、与えられたデータから答えがどのような組み合わせの中にあるのかを全ての場合に尽くす方式の構成、アルゴリズム・データ構造の選択・構成、間違いのないプログラム作成などが求められる。
また、参加するためには、アルゴリズムとデータ構造や探索法、計算幾何学とグラフ、過去の問題等を学んでほしい。

何にもまして、プログラミングを楽しんでほしい、更に、何か工夫できないかを常に考え、できた工夫を喜んでほしい。
プログラミングは楽しむのが一番である。
そしてその結果として、ACM/ICPCのWorld Championが生まれてきてくれることを期待している。

記念講演「もしもプロになったら」
 審査委員  矢沢 久雄 先生
  株式会社ヤザワ代表取締役社長
君たちがSE(=システムエンジニア)になる場合、必要なスキルは大きく分けて二つある。

一つは「テクニカルスキル」、コンピュータ技術を使いこなすスキルであり、その基本はコンピュータを技術的に見ることである。
コンピュータの三大原則としては、「ハードウエアの基礎」、「ソフトウエア(プログラム)の基礎」、「コンピュータには都合がある」があるが、これがテクニカルスキルの基礎ある。
入力された情報を演算し結果を出力するというものがセットになっている装置がコンピュータであることを理解することが、技術的に見る「ハードウエアの基礎」である。
また、命令とデータの集合体が「ソフトウエア(プログラム)の基礎」である。
さらに、入力にキーボードを使用することや出力にモニターを使用する等は「コンピュータの都合」であり、SEはそのような様々な都合を知っている必要がある。

もう一つは「コミュニケーションスキル」、人の話を聞いて自分の考えを伝える能力であり、その基本はITとは何かを知ることである。
ITとは情報活用技術であり、単なるコンピュータ活用技術ではない。
昔の酒屋などは大福帳を使い、常連客の情報を活用していた。これがITである。
情報が増えて大福帳だけの処理が限界となった場合に、コンピュータでの処理が必要になってくるのであり、単に業務にコンピュータを導入することがIT化ではない。
つまり、SEは、困っていることをコンピュータを使用したITで解決することが仕事であり、新たに何かを作ることではない。
また、どんなに高性能のシステムを制作しても、お客に使ってもらえなければ成功とはいえない。

プロフェッショナルとアマチュアの違いは、お客に対する意識の有無である。お客を考えたプログラムはエラー処理と修正しやすさが必要となる。
SEとしては、技術は持っていて当たり前であり、お客にどれだけ配慮しているかが重要となる。

以上のように、基礎を学ぶことが重要である。
「基礎を知らなければ応用ができない! 基礎を知らなければ新しい技術を生み出せない!」をあなた達にぜひ覚えておいてほしい。
コンピュータを楽しみ、お客様の役に立てるプロになってほしい。
学生である今、何をすべきか?
未来を見据えて基礎を学んでください。
▲画面トップへ
Copyright(C) Fukushima Prefecture 2004 All rights reserved.
(全国高等学校パソコンコンクール実行委員会事務局)